DEEP METAL BATTLE

すぎな之助(旧:歌帖楓月)



〔IF〕2 もしも、21話でお風呂の入り方指導をしたのがゼルクだったら……

ガイガー管理官(男 25歳):
はーいどーもいらっしゃいませー!!! 皆様、とくにお嬢様お姉様こんにちはー!!!
貴女のガイガーでーす!!

謎の芸術家中年女性M:
ようこそおおおおお!!!!!
お嬢ちゃまお坊ちゃまお姉様お兄様こんにちはああああ!!!!
皆のアチシよーお!!

ガイガー管理官(男 25歳):
D.M.B.IFです!

謎の芸術家中年女性M:
IFでっす!

ガイガー管理官(男 25歳):
今回のお題はー!

謎の芸術家中年女性M:
お題はー?

ガイガー管理官(男 25歳):
「もしも、21話のロイエルちゃんにお風呂の入り方指導をしたのが、ゼルク君だったら?」でーーす!

謎の芸術家中年女性M:
キャッハハアアアアア!!!
イカしてるわあ!
イッちゃうわああ!

ガイガー管理官(男 25歳):
18禁と銘打ちましたからには!

謎の芸術家中年女性M:
からには!?
イッちゃうのかしら!?
キちゃうのかしらァ!?

ガイガー管理官(男 25歳):
どっちも期待しましょう!
ってことで、
司会進行覗き見デバガメは、18禁なので

謎の芸術家中年女性M:
アタシとガっちゃんでお送りシマース!
では早速ゥ、

ガイガー管理官(男 25歳):
現場をお伝えしまーす!


::::::

 昼食が終わると、ロイエルは台所からそっと出て行った。
 行先は、午前に見つけた簡易な浴室。
 お風呂に入りたい、と、せつに思っていた。
 ケイタムイでは毎日入浴し、薄茶色の髪の毛から足の先まで、くまなく洗われていた。
 ジョン医師によってである。
 正確に言えば、ジョンはロイエルを、ロイエルはジョンを、洗い合っていた。
 だが、彼は国軍に囚われ、もはやそれもかなわなくなった。
「……ドクター……」
 抑えきれず溢れてきた涙をぬぐい、ぐす、と、鼻をすすってから、ロイエルは浴槽の蛇口をひねった。
 しかし出ない。
「え?」
 この蛇口は、ロイエルも知っている、ごく一般的な水道のそれだったので、間違いなくひねることができたにもかかわらず。
 出ない。
 何回ひねっても出ない。
「……どうして?」
 自分は水道にまで見放されたのかと、さらに悲しくなってくる。
 とりあえず、ひねった分をもとに戻してから、ロイエルは途方に暮れた。
 どうすればいいんだろう。
 お風呂に入りたい。
 体をきれいにしたい。
 しかし、ユリが入浴方法を教えると言っていたのだが、急な仕事が入り、今日は来てくれそうにない。
 自分では水を出すことすらできない。
 ということは、今のところ、頼る人は、少女にとっては不本意だが、一人しかいない。
 はあっ、と、ため息が漏れた。
 首都では、私って、なんにもできないんだ。

 台所に戻ったが、中将はいなかった。
 ベッドルームに行くと、求める姿があった。
 声を掛けようとしたが、思いとどまる。なぜなら、彼が真剣な顔で書類に目を通していたから。
 そういえば、と、ロイエルは思いあたる。アインシュタインとの別れ際に、中将が書類や本をあずかっていた。
 仕事の邪魔をしては悪いと思い、今度は、行きたくない方の浴室に向かった。
 彼女の性質とそぐわない、豪奢な浴室に。

「わかるわけない……」
 きらびやかな浴室。最新の機能を搭載しているらしい水回り。
「意味、わかんない……」
 そもそも石鹸がない。村ではそれで体や頭を洗っていたのに。簡素な方の浴室にも石鹸がなかったことに気づき、ロイエルは首をかしげた。
「みんな、どうやって洗ってるの?」
 浴槽に水を入れる方法すらわからない。
 中将が書類を読み終わるのを待っていよう。と、思いなおし、ロイエルは浴室を出ようと壁に手を掛けた。
 と、
 ピ、と音がして、天井の一部から適温の湯が降ってきた。オーバーヘッドシャワーといわれる設備であるが、それを知る由もないロイエルは、頭からぐっしょり被ってしまった。
「!? キャアッ」

 聞こえてきた可愛らしい悲鳴に、ゼルクは、読んでいた文書をぱさりと置いた。
「ロイエル?」
 てっきりトイレに行っているのだろうと思い、そっとしておいたが、……どこにいるのだろうか。
 悪趣味なトイレに行くと、そのそばにある浴室から「どうしよう」という声と水音が聞こえてきた。
 開け放たれた浴室から湯気があふれ出てくる。
 浴室に入る前に、「ロイエル、どうかした?」と声を掛ける。万が一、「脱いでいた」場合、これ以上嫌われることを避けるためだった。
「中将、たすけてもらいたいの、」
 弱り切った声が返ってきた。
「?」
 浴室に顔を出すと、オーバーヘッドシャワーが降り注ぐ中、服を着たままずぶぬれになった少女がいた。
「……何、してるの?」
 思わずそう問うと、「これ、止めて欲しいの」と小さな答えが返ってきた。
 浴室に入り、少ししぶきを浴びながら、壁に据え付けのボタンを押すと、ピピ、と鳴って、シャワーが止まった。
「ごめんなさい……」
「謝らなくていいよ? お風呂入りたかったの?」
 しょんぼりしたロイエルがこくりとうなずいた。
「全然わからないの。中将、お風呂の入り方、教えて?」
「……」
 何と答えたものかと思うが、こんな濡れネズミの状態のロイエルに、「ユリさんが来るまで待ってて」とは言えない。第一、今日は来られないと先ほど連絡があったのだ。
「私でいいの?」
 そう聞き返すと、こくり、と、また、うなずきが返ってきた。


::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
よっしゃきたあああああああああああああ!!!!!!!

謎の芸術家中年女性M:
イェッフウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
いっやー、どうやって一緒にお風呂入るんかなあと心配してたけど!

謎の芸術家中年女性M:
ロイエルちゃんったらドジっ子おおおおおお! カッワイイーーーー!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
まあ、ぶっちゃけ、僕もあの風呂場よくわかんないんだけどネ。機能満載で。

謎の芸術家中年女性M:
げへへ、アチキが教えてあげようか? 手取り足取りあんなことやそんなことまで

ガイガー管理官(男 25歳):
いやんいやんガイガーはずかしい!
さて。

謎の芸術家中年女性M:
さてさて。

ガイガー管理官(男 25歳):
まだまだ全年齢向けですね。

謎の芸術家中年女性M:
ソーデスネ。

ガイガー管理官(男 25歳):
続きをどうぞ。

謎の芸術家中年女性M:
ドウゾー!

::::::

「まだ脱ぐのは待ちなさい。ロイエル、……バスタオルって知ってる?」
「え?」
 なんの躊躇もなく黒いトレーニングウェアを脱いで素肌を晒そうとする乙女に、ゼルクが制止の声を上げた。
「いい? ちょっと待って」
 浴室を出て、脱衣所からバスタオルをもってくると、本当に何も知らない少女に差し出した。
「これのこと」
「大きいタオル。これが?」
「私はここから出てるから、これ使って?」
「う、うん?」
 今一つピンときてないロイエルに、ゼルクは具体的に言わないとだめなのか、と、頭痛をおぼえた。
「服を脱いで、これを体に巻き付けて、胸とかお尻とか隠して。村で、ほかの女の人たちとお風呂入ったことない?」
「ドクターとしか入ったことないわ?」
「は?」
「ドクターとしか入ったことない、と言ったの」
「え……」
 青年は、言葉を失った。理解を超えていた。

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
アハハハハハハハ!
ゼルク君が絶句した!
めっずらしいいいい!

謎の芸術家中年女性M:
アヒャヒャヒャヒャ!
続きをドウゾー

::::::

「……え、ジョン医師と入ってたの?」
 再々度の確認に、ロイエルが不思議そうな顔をした。
「そうよ? どうして何度も聞くの? なにかほかのことに聞こえたの?」
「いや。全然聞こえなかったけど」
「そう、よかった」
 めまいを覚えた国軍中将に、生贄だった少女が真面目な顔で追い打ちをかけた。
「俗世で浴びた一日の穢れを、清めあうの。あなたには理解できないかもしれないけれど。神聖な儀式なのよ?」
「待って。お互い洗い合うように聞こえたんだけど」
 夕焼け色の瞳が細められて、柳眉がひそめられた。
「そんな風に、普通の言い方にしてほしくない」
「普通の言い方だとそうなるんだね?」
「そうよ?」
「……色々と、言いたいことが沢山できたんだけど、」
「いいの。聞かないわ」
 しかしロイエルは頑是なく首を振った。。
「貴方がどう思ってるかわからないけれど。ドクターと私の神聖な儀式なの。口出しはさせない」
 そこで、少女が寒そうに身震いしたので、保護者はとりあえずそれ以上の追及はやめた。領主の館で体を見たときには傷一つなかったし、彼女は処女だったのだから。今は、それでよしとするしかない。
「体が冷えちゃったね。私はいったんここを出るから、服脱いで、バスタオルで体を隠して? それができたら声を掛けて」

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
洗いっこしてたんだってさー。ふーむ。まあ、ゼルク君も言いたいこと沢山あるだろうけど、ここで喧嘩して、ロイエルちゃんの機嫌悪くさせる訳にもいかないかー。

謎の芸術家中年女性M:
はー、アチシも18歳のおんにゃのこに体洗ってもらいたいなー。

ガイガー管理官(男 25歳):
ボクも洗ってもらいたいなー。ジョンさんうらやましー。
ハイ続きですどうぞ。

::::::

「できたわ。中将、」
「うん」
 ゼルクは振り返ると、戸棚に置いてあった絹のボディタオルを手にして浴室に入った。
 ロイエルは、バスタオルを体に巻き付けてはいたが、端を手で押さえて、「でもこれじゃ手が離せない」と、言った。
「端を折り込むんだよ」
「こう?」
「そうそう」
 応じながら、浴室の床に落ちたロイエルの衣服を拾って、脱衣所の洗濯機の中に入れた。
 また振り返ると、少女が申し訳なさそうな顔をしていた。華奢で優美な曲線を描く肢体をできるだけ視界に入れないようにしながら、ゼルクは、浴槽に湯を入れた。
「浴槽にお湯はいらないわ。勿体ないから」
「私も後で入るから気にしないで。風邪ひくよ。とりあえずシャワーでも浴びなさい?」
 シャワーのそばにある壁のボタンを押すと、適温の湯が出る。
「シャワーは知ってる?」
「領主の館で見たことあるわ。使ったことはないけど。なんとなくわかる。あのね、……お湯の出し方が、わからなかったの」
「壁のこのボタンを押せばいいみたいだね。浴槽のはここ」
「うん、わかった」
 シャワーを受け取ったロイエルから、パサリとバスタオルが落ちた。
「……」
 ふい、と、ゼルクが顔をそむける。
「ご、ごめんなさい、」
「私は出るから。体洗ったりしなさい」
「待って、わからないこと、まだあるの! 石鹸がないの、」
「石鹸はないね。教えるから、体隠して」
「うん……」
 おずおずとバスタオルを体に巻き付けて、ロイエルは消沈した様子で「ごめんなさい。隠したわ」と言った。
 そんな少女の様子に、青年は困惑した。
「そんな顔しないで。というか、こういう場合、謝るのはこっちの方なんだから」
「どうして? ……っくしゅ、」
「ああ、風邪ひいちゃう」
 ゼルクは、シャワーをロイエルから取り上げて、腰掛に座らせ、肩にシャワーを掛けてやる。
 ロイエルは、月色の金の髪をもつ青年を見上げて困惑した。
「はしたないから怒ってるんじゃないの?」
「はしたなくないよ。女の子が男に肌を見せるのは勿体ないんだよ?」
「お湯の方が勿体ないと思うけど……」
 わかってない上に、まだ落ち込んでる様子を見て、ゼルクはロイエルの頭を撫でた。
「女の子は宝物みたいなものだからね」
「そんなことないわ」
 きっぱりと首を振って、嬉しそうに言い加える。
「私はオウバイ様の道具だもの」
「……」
 ゼルクは口をつぐみ、そして溜息をついた。
「どうして、そんな悲しそうな顔するの? 私、間違ったこと言ってないわ?」
 不安げな少女に、中将は表情を改めてやさしくささやいた。
「私にとってはね、ロイエル、君は、きれいでかわいい宝物だよ?」
「そんな、こと、」
 生まれて初めて言われた言葉に、ロイエルは動揺して顔を赤らめた。
「……ない、わ?」
「あるよ?」
 恥ずかしそうにうつむく少女の額に、青年は口づけを落とした。

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
甘ああああああああああああああああああああいいいいい!!!!

謎の芸術家中年女性M:
あっまあああああああああああああああいいいいいいいいい!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
うーむ。全年齢向けなら、ここで終わっていい感じだなあ。

謎の芸術家中年女性M:
まだ全然お風呂指導してないけどね? 全然。

ガイガー管理官(男 25歳):
お湯の出し方とバスタオルの巻き方しか教えてないね。

謎の芸術家中年女性M:
18禁になってないんで、続き見てみようぜ!

ガイガー管理官(男 25歳):
見てみようぜ!

::::::

「髪を洗いたいのだけど、石鹸の代わりがあるの?」
「シャンプーとコンディショナーがあるよ」
 ロイエルが顔を曇らせた。
「それ、ちょっと知ってる。エミリが自慢してたの、聞いたことあるわ」
「……別に自慢するようなことじゃないと思うけど」
 同意されて、ロイエルは少し表情をもちなおした。
「そうでしょう?」
 ゼルクは少女の絹糸のように美しい髪を見つめながら、「石鹸で洗ってもきれいな髪が羨ましかったんだろうね」、と、言うと、ロイエルが「だったら、自分も石鹸で洗えばよかったのに……」、と、また表情を曇らせた。ふつうは石鹸洗いした髪の毛はギシギシになるんだよ、と、言いたかったが、話がこじれそうだったので黙っておいた。
 話題を変えてみる。
「髪の毛洗ってあげようか?」
「石鹸とシャンプーって、洗い方違うの?」
 断られるかと思ったら、興味津々で尋ねられた。
「どうかな。じゃあ比べてみて? 頭にシャワーかけるよ」
「うん」
 素直に頭を傾ける姿に、洗われ慣れているな、と、感じて、ゼルクは複雑な気分になった。
 医師はどんな気持ちで、この子と入浴したのだろうかと。生まれた時から一緒だったから、娘を見ているような気持ちだったのだろうか。それとも、単なる道具でしかなかったのだろうか。余計な欲は挟まなかったのだろうか。
 髪をまんべんなく濡らしてあげて、ロイエルの前髪をかきあげて、シャンプーを容器から押し出すところを見せた。
「こうして出して、手で泡立てて、髪につけるんだ」
 薔薇の花の深い香りがふわりと広がる。
「うん。……いい匂い」
 やわらかな手つきで頭皮に指をすべらせる。髪を傷めないように。
「ドクターのと全然違う。シャンプーで洗うってこんな感じなの?」
「? どんなふうに洗ってたの?」
「え? こんなふうに」
 ロイエルが髪に指を差し込んでがしがし洗った。
 男らしい。
 少し、あっけにとられた。成る程、医師はどうやらやはり道具としてこの子を見ていたらしい。
「そんなに強くしなくても大丈夫だよ。このくらいで」
 こしこしと洗ってあげる。
「そうなの? ちょっとくすぐったい」
「嫌?」
「嫌じゃないわ」
 ふるふると頭がふられて、小さな声で秘密のように、「……気持ちいい」と返ってきた。
「……」
 余計なことを想像して、手が止まってしまった。
「どうしたの?」
「どうもしないよ?」
 医師を少し尊敬した。いや、彼はオウバイ至上主義だったから、この子がどうであれ意にも解さなかったのだろう。
 こういう場合は頭の中で素数を数えるといい、という話を悪友から聞いたことがあったので、心を鎮めて素数を数えながらことにあたった。

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
悪友ってぼくのこと? やだなあ。親友ってゆってよゼルク君。役に立ったでしょ?

謎の芸術家中年女性M:
そんなもん数えなくても下半身の言うことに従えばいいのにい。

ガイガー管理官(男 25歳):
まだロイエルちゃんそういう気分になってないから、ゼルク君が下半身のゆうこと聞いて行動に移したら、平手打ちばっしん、だと思うよ。

謎の芸術家中年女性M:
あちし、ロイエルちゃんに平手打ちされて「大っ嫌い!!!!!」とか言われて泣かれたい。それってご褒美じゃない?

ガイガー管理官(男 25歳):
ご褒美だけど、今のロイエルちゃんとゼルク君の関係だと、修復不可能になっちゃうからなあ。
せめてもう一回セクロスして仲良くならないと無理そう。

謎の芸術家中年女性M:
あーロイエルちゃんとセクロスしてえ

ガイガー管理官(男 25歳):
M女史は正直でいいねえ。

謎の芸術家中年女性M:
人間正直が一番よ? では続きー

::::::

 ゼルクにとっては、なんとか無事に髪を洗い終えた。
 一方のロイエルは、相当気持ちがよかったようで、ほうっとしていた。
「次、体洗おうね? ロイエル?」
「……え、何?」
「石鹸の代わりにこれで洗うんだよ。ボディシャンプーっていうんだ」
 ボディシャンプーの入った容器のポンプを押して、絹のボディタオルにつけてみせた。
「こっちもいい匂い」
「そうだね。はい、洗ってみて」
「うん」
 応じると、ロイエルはボディタオルをうけとり、髪にしてみせたような勢いで、わっしわしと腕をこすった。
 やはり男らしい。
「ちょっと待って」
 あきれたゼルクが泡立つタオルを取り上げた。
 きょとんとしたロイエルが首をかしげる。
「なに?」
「肌が荒れるから、そんな、金属洗うみたいな勢いで洗ったりしたら駄目だよ」
「普通よ?」
「普通じゃない。ちょっと貸してごらん」
 泡立ちをつぶさないように、やんわりとこすってあげる。
「くすぐったい、」
 くすくす笑う少女には構わないことにした。
「いいんだよ。このくらいで」
「や、……くすぐったい、」
 夕焼け色の瞳を笑みに揺らし、少し身をよじる。
「やだ、だめ、中将、」
 はあっと、息継ぎをして、くすくす笑う。
「んっ、中将、だめ、もっと強くして、」
「……」
 健全な青年は、少女の無垢な言葉に、あらぬ想像をして固まった。一つ首を振って、浮かんだ映像を消し去り、白い心で洗身しようと努力した。
「中将?」
 動きをとめた相手に、ロイエルはくるりと振り返って、不思議そうな顔をする。
「どうしたの?」
「気にしないでいいよ」
「でも、」
「大丈夫」
 難しい顔になった中将を見て、不安になった。
「ごめんなさい。中将、私、我慢するから、」
「ロイエル、」
「……したいように、して?」
 少女の肩に手を置いて、ゼルクはささやいた。
「体全部、洗っていい?」

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
理性崩壊キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!

謎の芸術家中年女性M:
キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
ちょっと早いか!? でもやっぱIFはこうでなくっちゃ!

謎の芸術家中年女性M:
いけいけどんどん!!!!
あちしは若者の暴走が大好物ーー!!! ふおおおおおおおおおおお!!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
固唾を飲んで見守りましょう!

謎の芸術家中年女性M:
ましょう!

::::::

 バスタオルを解いて肢体をあらわにする。
「背中、洗うね?」
「うん」
 以前、領主の館の浴室で、気を失ったロイエルにしたように、撫でるように、優しく丁寧にボディタオルをすべらせていく。
「……っ、」
 くすぐったくて笑いそうになるが、ロイエルは、バスタオルを口に当ててこらえた。
 やがて、全身を洗われるにつれて、くすぐったさはしびれを伴った快感の芽生えへと変化していく。
「ふ、ぁ、」
 なにこれ。
 ドクターがしてくれたのと全然違う。ふわふわして、体がどきどきする。
「ドクターは、もっと強く洗ってくれたの」
 口に出して何か言っていないと、体がおかしくなりそうで。
「洗われてるって感じがして、きれいになったって思ったの」
「これは嫌?」
「嫌っていうのとは違って、」
 ロイエルは振り返ると、「はずかしいの」と小さな声で言った。
 ぞくりとしたゼルクは目を伏せて、ロイエルの小さな顎に指を添えて持ち上げた。
 そして口づける。
 2、3度浅くキスして、初心な少女の唇を深く奪う。
 びく、と、体が震えるが、抵抗はされなかった。
 舌を甘くからめ、歯列をなぞり、上顎を舌で撫でる。
「ぅんっ」
 無意識に内腿をすり合わせて、少女は青年にすがりついた。すでに濡れた衣服に薔薇の甘い香りの泡が付くが、構わず左手で抱き寄せる。
 耳元に、「ジョン医師と同じようにはできないよ?」と吐息と共にささやきかけると、ふるりと体を震わせて甘く切ない吐息だけが返された。
 背面を洗い終え、自分で姿勢を保つことができなくなったロイエルを横抱きにしてひざの上に乗せ、前面を洗っていく。首や鎖骨周りを洗い、ボディタオルが乳房に触れると、「あ、」とロイエルが声を漏らして、ゼルクの手を止めさせた。
「触られるの嫌? 我慢できない?」
「ちが、うの」
 恥じらって顔を赤らめ、「もっと、さわって?」と、ロイエルが小さく願った。
 欲情した乙女に、望外の喜びを感じながらも、ゼルクは、理性をふりしぼって、優しく微笑んで制する。
「ちょっと待ってて、前も洗ってから触ってあげるね」
「や、」
 ふるふると首を振ってロイエルがねだる。
「おねがい、」

::::::

謎の芸術家中年女性M:
オネガイきましたわああああああああああああああああああああ!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
おねだりされたいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!

謎の芸術家中年女性M:
おねだりするとこハジメテ見たあああああ!
おねだりされてえええ!!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
時系列で見た場合「初めて」だね!!! ハアハアハアハア

謎の芸術家中年女性M:
えええええ、ロイエルちゃんカワイイーーーー!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
さてさて続きいってみましょー

::::::

「じゃあ触りながら洗ってあげる」
 ボディタオルを落として、ゼルクはロイエルの胸を手で柔く包んだ。
 ロイエルが顔を真っ赤にしながらも、微笑んだ。
 たまらなくなり、口づけを落とす。少女から唇をちらりとなめられて、くちゅくちゅと水音をさせながら舌をからめる。
 急こうとする心を抑えながら、双丘を丁寧に撫で洗う。初めて愛撫される体にいらぬ猥雑さを染み込ませないように、優しく。
「ふ、……ぅ、はぁ、」
 堪え切れず漏れる、鼻にかかる甘い声。
 もっと聞かせてもらいたくなり、わき腹を愛撫する。
「あ、んッ」
 細い指が濡れた衣服越しに腕をつかんで、止めさせようとするが、耳を甘噛みされて、力が入らなくなる。
「はぁん、」
 閉じた両脚を右手で割り広げられて、ゼルクの右脚が入ってきた。
「や、」
 腹部を円を描くように撫で洗い、左手の中指でへその窪みをやんわりと洗われて、そのまま下腹部、そして秘部のささやかな茂みへとゆっくりさし入れられる。
「!」
 びく、と、体を震わせて、ロイエルが身をよじった。
「あ、ッ、やっぱり、いや、」
「駄目」
 耳元に低い声でささやきかけ、ふうっと息を吹き込む。
 ロイエルは味わったことのない快楽の気配にみぶるいした。
「んっ」
 青年の手指が優しく性器を撫で洗う。
 神経がそちらに集中して勝手に快感を拾おうとし、少女はやるせなく首を振る。
「ふっ、ぁ、」
 やがて、中指が陰核を探り当て、ゆっくりと小さな円を描くように撫でる。
「ぅん、ふぁ……っ」
 未知の刺激に背中を反らせるロイエルを右手でしっかりと抱きしめて、ゼルクは行為に没頭する。
 体の奥がしびれと熱を持ち、乙女は何も考えられなくなる。
「あっあっ」
 青年が与える快楽に、感じたことのない悦びを見つけ、ロイエルは混乱して身をよじる。
「やだぁッ、」
「大丈夫、いい子、怖くないよ」
 ちゅ、ちゅ、と口づけを落とし、「いい子」とあやす。
 動きを止めた左手に、ロイエルはおびえるのをやめて、そっと振り向いて願う。
「……もっと、きすして」
「うん」
「くちゅくちゅして」
「いいよ。じゃあ、口を少し開けて?」
 うっとりと口を開く少女に、ゼルクは柔く唇を合わせて舌を差し入れた。とろりと舌を絡ませ、舌の表と裏を丁寧に舐め、吐息を飲み込み、歯列をなぞった。

::::::

謎の芸術家中年女性M:
怖がっちゃってぇ、くぁあわいいいいいい!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
あー僕も18歳のおんにゃのこを怖がらせてあやしたい!!!!
続きどーぞ!

::::::

 頭から足先まで洗い終えて、ゼルクはひざの上に抱いたロイエルにシャワーを掛けてあげた。
 ゼルクの胸に身を預けて、ロイエルは気持ちよさそうにシャワーを浴びる。
「お風呂の入り方、わかった?」
「うん。中将、ありがとう、」
 そして、衣服を着たまま、すっかりずぶ濡れになった保護者に、ロイエルは申し訳なさそうな顔をする。
「中将、濡らしちゃった」
「いいよ。さ、お風呂に浸かりなさい」
 抱き上げて、浴槽に浸けてあげる。
 ざぷ、とお湯が溢れる。
 ロイエルはゼルクを見上げた。
「中将……いっしょにはいるの、だめ?」
「駄目」
「私と一緒、いや? ……んっ、」
 深く口づけて、「嫌な訳ない。何するかわからないからだよ?」と、ささやいた。
 これでもまだ男の機微がわからない乙女は、寂しそうに言う。
「お礼に背中流してあげるのに、……強くこすったりしないわ?」
「さっき私から色々されたのに、まだわからないかな?」
「さっきのは、」
 ロイエルは顔を真っ赤にして、小さく言う。
「嫌って言ったけど、そうじゃなくて、あの、びっくりして……。いやじゃないの、」
 潤む大きな瞳で見上げられて、青年は決心が揺らぎそうになる。
「今わたしにできることって、背中流すことくらいだから、」
 本当にわかってない少女に、青年はこれ以上意見を交わすことをあきらめた。続ければ、あの石牢のときのように手荒くはしないが、間違いなく抱いてしまう。
 ゼルクは笑顔を返した。
「お礼はいいよ? 私はシャワーを浴びてから上がるけど。もう一人で大丈夫だね?」
 断られて、ロイエルは気を落としたが、強いて微笑んだ。
「うん。大丈夫よ」
「じゃあ、ゆっくり温まってくるんだよ?」

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
ええええええええええええええええええええええ
ヤっちゃえばいいのにいいいいい

謎の芸術家中年女性M:
ヤっちゃえヤっちゃええええ!!!!
セクロスセクロース!!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
ちぇー。
なんだよー。IFじゃ2回目はしないのかあ。まあ、ユリちゃんにここでヤっちゃったことバレたりしたら、ゼルク君殺されちゃうからねえ。まじで。

謎の芸術家中年女性M:
ええええええええええええ
それにもかかわらず今見たかった、今ヤッて欲しかった。
ロイエルちゃんにできることっていっぱいあるのにいいいい。
ゼルク君に全部あげちゃえばいいのにいいい。

ガイガー管理官(男 25歳):
まあ僕も正直見たかったけれども。

謎の芸術家中年女性M:
ねー!!

::::::

 衣服を脱いで、脱衣所にある洗濯機に入れ、浴室の出入り口付近にある、オーバーヘッドシャワーを使って頭と体を洗う。
 ロイエルは湯船に浸かりながら、手早く体を洗うゼルクの、引き締まった後ろ姿にぼんやりと見入っていた。
 あんな逞しい体の人、みたことない。
 ジョンは中肉中背だったし、ロイエルが知っている男性で一番ごついのはソイズウ大佐だったが、当然、彼の裸体などみたこともない。でも「お医者さんごっこをしよう」と言って抱き寄せられたとき、体がぷよぷよしてたので、筋肉はそう付いていないと思う。
 他人の裸をじろじろ見るのは失礼だとはわかっていたが、どうにも目が離せない。
 視線に気づき、ゼルクが振り返ってロイエルを見て苦笑した。
「珍しい?」
「ごめんなさい、……かっこよかったから、あ、違うの、なんでもない、」
 ふと口に出してしまった素直な賞賛を、この場の雰囲気には決してふさわしくないんじゃないかと思い直して、ロイエルは言葉を濁した。
「違うの。そう、珍しいの、男の人の体って、ドクターのしか知らないし……って、そうじゃなくて、」
 もはや何を言い繕っても、変な方向にしか進まず、ロイエルは困惑した。
「……ごめんなさい、」
「いいよ。気にしないで」
 
::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
僕の方が逞しいよ?

謎の芸術家中年女性M:
アチキも生でゼルク君の裸見たいなあ。乗り込んで行こうかなあ。

ガイガー管理官(男 25歳):
僕の方が逞しいって乗り込んで行こうかなあ。

謎の芸術家中年女性M:
それはできない相談ね。はー、せつない。

ガイガー管理官(男 25歳):
そうねー。見事に変質者になるからね。通報されちゃう。

謎の芸術家中年女性M:
ここで通報はさすがにまずいやね。

::::::

 自分がお風呂に入ったままだと、中将がゆっくりできないことに気づき、ロイエルは出ようと思った。
 本当に何にも役に立てないんだ、と思うと、情けなくなってくる。
 村に居たときは、ドクターから一人前の扱いをされていたのに。道具として生きることが私の誇りだった。「ロイエルのお蔭で、今日も俗世の穢れを清めることができました。ありがとう」と喜んでもらうのが、一日の最後の喜びだった。
 首都では、私、お荷物だ。なんにもわからないし、なんにもできない。
 悔しくて涙がこぼれる。
 早くここから出なきゃ。
 泣いてるってわかったら、また、甘やかされちゃう。お荷物になっちゃう。
 バスタオルをしぼって、涙を拭いた。そして体に巻き付ける。
 こちらに背を向けている青年に声を掛ける。
「中将、先、出るね」
「温まった?」
「うん、ありがとう、」
 礼を言いながら通り過ぎる。うまく隠せたと思った。
「何泣いてるの?」
 しかし振り返られて、驚いた声で問われる。
「どうかした?」
 重ねての問いに、ロイエルは首を横に振った。
「なんでも、ないの、」
 止まらない涙に何度も目をこする。
「なんでもなくないよね? 何か思い出した?」
「ちが……」
 ぐす、と、鼻をすすり、首をふる。
「違うの。気にしないで、」
 気遣わしそうに髪を撫でられ、頭に、こめかみに、目じりにキスを落とされる。
「ふ、……ぅ、っ」
 ゼルクを見上げる。涙が幾筋も落ちる。
「だってあたし、何にも役に立ってない、」
「ロイエル……」
 少女は両手で手荒く涙をこする。
「ドクターのお役には立ってたのに、オウバイ様のお役目、任されてたのに、……私、ここでは誰の役にも立ってない、」
 抱き寄せようとしたゼルクが思いとどまった。
 慰めが欲しいんじゃないと気付いたからだ。
 これはプライドの問題だ。
 床にひざをついて、少女を見上げる。
「役に立ちたい?」
「でも何の役にも立ってない」
 ロイエルの左手を取り、手の甲に口づける。
「私は、居てくれるだけでいいんだけど?」
 けれど道具だった少女は大きく首を振った。
「そんなのわかんない。だって道具だもの。役に立たないのに生きてていいはずがないもの」
 大粒の涙を落とし、両手で顔を覆って嗚咽する。
 ゼルクは立ち上がると少女の頭を撫でた。
「役に立ちたい?」
 再度の問いに、ロイエルはうなずいた。
「うん」
「だったら、お願い」
「なに?」
「抱かせて、ロイエル」
 
::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
よっしゃあああああああああああああああああああ!!

謎の芸術家中年女性M:
きたあああああああああああああああああああああ!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
現場と覗き見部屋との温度差がエグい感じになっておりますが!!!!
やっぱりしないとね!? セクロス!?

謎の芸術家中年女性M:
やっとかなきゃね!? セクロス!!

ガイガー管理官(男 25歳):
では続きをどうぞ!!!!

::::::

「……そんなのでいいの?」
「そんなのじゃないよ、大事な体だよ。どうしてわからないかな?」
「だって……」
 ぐすぐすと嘆くロイエルを、ゼルクは抱き寄せる。
「ロイエルのこと頂戴って言ってるんだよ?」
「お二人の役に立たない私なんて要らないもの」
 少女の顎に指をかけて、上向かせ、口づけを落とす。
「ん、」
「じゃあ、要らないなら私に頂戴? 大事に大事にするから」
「そんなにされる価値ない」
「あるよ? 教えてあげる」

 ロイエルを拭き上げ、ドライヤーで髪を乾かしてあげて、大切そうに抱き上げてベッドルームへ入る。
 乾いたバスタオルを敷いた上に、そうっと横たえられるが、少女は身構える。
 石牢での行為しか知らないからだった。痛くて辛くて悔しくて惨めだった。
 でも、と、ロイエルは思う。
 道具として役に立たなかったのだから、それがお似合いなのだろうと。
 中将の物になって、我慢して、我慢して、いつか、お二人を助け出せたら。それでいい。
 お二人はまた新しい道具を作るだろう。全知全能のオウバイ様なのだから、当たり前だ。そうだ。きっと、今も、私の知らないところで、崇高な目的に向かって邁進していらっしゃるのだろう。
 ふわりと頭を撫でられて、ロイエルは、ベッドに腰かけるゼルクを見上げた。
 慈しむような微笑みを向けられている。
 こんな顔、
 誰にも向けられたこと、ない。
「……どうして、そんな顔、するの?」
「ロイエルが好きだからだよ」
 ちゅ、と、額にキスされる。
 それはまるで清らかな儀式のようで、少女は違和感に首をかしげる。
「酷く、しないの?」
「しないよ。大事にさせて?」
「石牢のと違う」
「殴っていいよ?」
「何度も言ってるでしょ? 私のことはいいの。オウバイ様とドクターのこと、謝って欲しいの」
「何度も言ってるね。君を虐げてきた大人を許すわけにはいかない」
「そんなの違うわ?」
 きっ、と、ロイエルはゼルクを睨み上げた。
「ドクターもオウバイ様も、そんなのじゃない」
 静かな顔で青年は返す。
「……君にとってはそうなんだろうね」
「どうしてそんな風に言うの? お二人は何も悪くないわ? 悪いのはあなたと私……大っ嫌い、」
「嫌いでいいよ?」
「……!」
 瞳から一筋涙が流れる。
「きら、嫌いっ、大っ嫌い、」
「いいよ。嫌って?」
「中将なんかっ、」
 わかってる。
 ころされそうだったの、たすけてくれたんだって、わかってる、けど、
 こんなにだいじにされたことなんかないって、わかってる、けど、
 ゆるせない。
 両方の思いに引きちぎられそうになって、少女は嘆く。
「お二人のこと返して、」
「返さない」
「私のこと、放っておいてくれたらよかったのに」
「嫌われても助けるよ」
「う……」
 ぽろぽろぽろと涙がこぼれる。
 どうしたらいいんだろう。わからない。
「だいきら
 優しく口づけされる。
「……っふ、」
 あやすように、そっと髪を撫でられる。
「ロイエルを頂戴? 大事にするから、」
 抵抗しようとした手指が優しく包まれる。
「駄目?」
「役に立たないのに……私なんかもう使えないのに」
「大切にするから。宝物にするから」
 甘く口づけされる。
「ね?」

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
ネ!?

謎の芸術家中年女性M:
ああああああアチキも大切にするからウチの子になりなロイエルちゃあああああああああああああああんんんん!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
ほんっと、よくもまー、ゼルク君は、ケイタムイでオッサンの作業着着て走り回ってた子が、こおんなカワイイって見初めたよなあ。いやボクも一歩遅れてカワイイなこの子って思ったけど。一歩遅れて。

謎の芸術家中年女性M:
うおおおおお!!! 逆にアチシもゼルク君の前で「アチシなんてなんの役にも立たないオバサンなの」ってゆったら、セクロスしてくれるかなああああ????

ガイガー管理官(男 25歳):
M女史は、しぶとさとかえげつなさとかが透けて見えまくりだから、ゼルク君はキュンと来ないよー。僕はM女史のそこが好きだけど。

謎の芸術家中年女性M:
いやんいやんガっちゃんったら正直なんだからー!! じゃーアチシがゼルク君抱いたるわ!

ガイガー管理官(男 25歳):
うーんそっちのほうが可能性としてはありうるかもねえ。

謎の芸術家中年女性M:
がんばるぞう。

ガイガー管理官(男 25歳):
はい続きー!

謎の芸術家中年女性M:
続きッ!!

::::::

「ん、ん、」
 ちゅ、ちゅ、と軽く口づけされ、もっと、と、口を開けると深く口づけられる。
 歯列の裏を撫でられ、舌を絡め、口蓋をゆるりと撫でられる。
 深いキスで身も心もとろかされて、ロイエルは、くったりとベッドに横たわる。
 華奢な肢体にふわりと覆いかぶさり、ゼルクが少女の首筋を愛撫する。
「ぁ、んん、」
 左の鎖骨から耳の後ろまでそっと舐め上げ、耳を甘噛みし、耳孔に舌を差し入れくちゅくちゅと音を立てる。
「んう」
 ロイエルがみじろぎして、ゼルクの両肩に指を這わせる。彼の左手がやんわりと乳房を包み、薄い紅色の頂を親指で柔くこねると、びく、と、上体が震えた。白い繊手がそれ以上の行為を阻もうとゼルクの手首をつかむ。それを逆にそっとつかみ返して、ベッドに軽く押し付けた。
「や、中将、」
 いやいやと首を振るが、甘い口づけを寄越されて、拒絶がとろける。
 ちゅ、ちゅ、と、小さく音を立て、唇をついばみ、舌をからめ、初心な少女を溶かす。
「は、」
 その間も、優しく胸を揉みこまれ、ロイエルは両方の快楽に流されて、つま先が丸まる。下腹の奥がきゅんと痺れて、どうしていいかわからなくなる。
「ふあっ、あ、」
「気持ちいいね?」
「ん、わかんな、おなかがきゅってなる」
 切なげに見上げてくる乙女を、ゼルクは慈しんで微笑みかけた。
「それが気持ちいいって言うんだよ?」
「……きもちいい?」
「そう。いい子だね。もう一回言って?」
「きもちい、……あん、」
 わき腹をくすぐられ、ロイエルは身をよじる。
「ちゅうしょう、だめ、きもちいい、」
 無意識にひざを立て、請うように、両脚の間に青年を迎え入れる。
 ちゅ、と、口づけて、ゼルクは右手指を優しく少女の脚の付け根に這わせた。
「ッ!」
 最も柔らかい場所に触れられて、ロイエルは顎を反らせた。
「あ、」
 軽いキスを繰り返してあやしながら、人差し指と薬指とで秘部をそっと広げ、中指の背で、陰核にかすかに触れてくちくちと擦る。膣口から蜜が溢れて青年の指を温く湿らせた。
「やっ、や、」
 しびれるような快楽に、ロイエルは首を振る。腰が浮いて両膝で青年の体を挟み込む。
「ぁあんッ」
 ぬるりと中指で蕾を剥かれて、くりくりと愛撫され、背中がくうっと反った。
「や、」
 受け止めきれない快感を止めさせようと、ロイエルはゼルクの手に触れるが、その律動を感じて一層しびれてしまう。それは体の奥にじんじんと蓄積し、背筋を這い上がって体全体が震える。
「ちゅ、しょ、」
 どうしたらいいかわからなくなり、すがるように青年を見ると、愛おしそうに微笑み返された。
「怖くないよ。大丈夫」
「んっ、ん、」
 ふるふると首を横に振って、快楽から逃れようとするのを、中将が口づけを落としてあやす。
「大丈夫、」
「や、」
「ロイエル、いい子だね、」
「ん……ッ、やだ、」
 拒絶ではなく甘える色が濃い。
「ほら。気持ちよくなって?」
「や、ぁっ、中将、やっ、」
 中指ですくいあげるように、陰核にふれる。
「ん、んっ、……っあ、」
 どくん、と、しびれるような快楽の衝撃が頭から足先まで突き抜けた。
「ぅ、んっ!」
 瞳から生理的な涙がはらはらとこぼれた。ひどく心細くなり、ぎゅっと中将にしがみついた。
 ゼルクはロイエルの秘部から手指をそっと抜き、少女を抱きしめて額にキスした。
「ちゅうしょ、」
 ぐすぐすと泣きじゃくるロイエルのこめかみにもキスし、背中を優しくさすった。
「こわかった?」
「……ふっ、……うっ、」
 頭を撫でて、頬にキスする。
 目を合わせると、少女は照れて真っ赤になって首を振った。
「きら、きらいっ」
 こどもあつかいしないで、と、かすれ声での必死の抗議も、溢れるほど受けた快楽にとまどった甘い色が漂っている。
「ごめんね」
 初心な反応を愛しく見つめて、ゼルクは優し気に謝った。
「上手にいけたね。よかった」
「……? いくってなに、」
「さっきみたいになること。びっくりした?」
 頭を撫でてやり、額を合わせて微笑みかけると、少女が泣きながら甘えて頬ずりしてくる。
「ん……びっくりしたの……」
「でも、上手だったよ?」
「上手?」
「うん」
 ちゅ、と、額にキスを落とす。
「今日はこれでお終いにしようかな」
「んん、」
 ロイエルが身じろぎした。
 浮かない顔になる。
「どうかした?」
「石牢でされたこと、まだ、してない、」
「……」
 少女が青年をじっと見上げる。
「痛くないのなら、つづき、して?」
「……」
 ロイエルは、頬を染めた。
「中将、抱かせてって、言ったでしょ?」
「うん」
「……抱いて、」
「疲れてない?」
「びっくりしたけど、だいじょうぶ、」
 少女の瞳がうるりと揺れる。
「して?」

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
ギャーーーーー!!! ロイエルちゃん積極的ーいいいいいい!!!!

謎の芸術家中年女性M:
ヒャッハーーーーーー!!! 初イきイイ子お上手いただきましたああああああああああ!!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
ではつっづきー!!!

::::::

「あ、あッ、あ、あんッ!」
 再び秘部にゼルクの指を受け入れ、ロイエルは軽い絶頂を数度迎えた。その度に体がとろけ、奥が濡れて体が開いていく。
「……っ、ちゅうしょ、いれて?」
「まだ駄目」
「やだぁっ、」
 ゼルクの意地悪に聞こえる拒絶に、内腿をすりあわせるととろりと濡れた。愛液が深奥から少しずつ溢れてくる。
「もう大丈夫だから、……して? ……んッ、は、ぁ、ああんッ!」
 びくりと細い身体がふるえて、また軽い絶頂を迎える。
「ちゅうしょ、おねがい、」
 媚態に、青年は「可愛い」とささやいて深く口づける。
「ん……」
 渇きをいやすように、少女は青年の口内に舌を差し入れる。
「! ……や、」
 口ではあやしながら、再び動き始めた手指に、ロイエルは身をよじった。
「あ」
 今までとは違う指の感触に、期待する。
「……ん、」
 腰が勝手に動き、膣口に当てられた中指を奥に迎え入れようとする。
「中将、」
 ぎゅ、と、だきついて、身を任せる。
「欲しい?」
「欲しいの、」
 常なら交わさない言葉を、甘い熱に浮かされた体が紡ぎだす。
 今まで花びらを優しく愛撫していた指が、つぷりと奥に入っていく。
「痛くない?」
「いたくない。もっと、いれて?」
 艶めかしく腰が動く。
「大丈夫?」
「うん、もっと奥、いれて」
 少女の中で、指が前後に慎重に揺れる。
「ほら。中指全部入ったよ」
 ぐ、ぐ、とゆっくり押されて、ロイエルは、ん、と、声を漏らして微笑んだ。
「痛くない」
「よかった。慣れたら、気持ちいいところ探してあげるね?」
「あるの?」
「あるよ。ロイエルがもっと可愛くなるところが。指増やしていい?」
「中将の、入れてくれないの?」
「指で慣らしてからね」
「入れていいのに」
「もう少し待ってね」
 中指が一旦そっと抜かれ、人差し指と中指の二本がゆっくり入ってきた。
「きつくない?」
「大丈夫。あ。動いてる、」
 中を広げるために、それぞれ別の動きを始めたのを感じ、ロイエルは声をもらす。
「気持ち悪くない?」
「悪くない、」
「痛くない?」
「いたくない、……ん、」
 少女の方から口づけをしてきた。これも、常であれば決して見られない言動だった。
「もう一本増やすよ?」
 二本で広げて作った空間に、薬指をそうっと足す。
「んん、」
「痛い?」
「だいじょうぶ」
「動かさない方がいい?」
「ううん。ゆっくり、して」
「わかった」
 とろりと中をかき混ぜると、ロイエルが、はあっと息を吐いた。
「どこか気持ちいいところ、ある?」
「……ん、」
 頬を赤らめてうなずく。
「おなかの奥、うずうずするの」
 愛おしくなり、ゼルクはロイエルの額に口づける。
 それを、うっとりと少女が見上げた。
「中将のがほしい」
 ほそい指を、青年の右腕にそっと這わせる。
「わかった」
 右手をゆっくりと抜いて、代わりに屹立した自身をあてがう。
「息吐いて、力抜いて?」
「うん、」
 少女は素直に言うことを聞く。
「いい? ゆっくり入れるからね」
「ん」
 ちゅく、と、愛液に濡れた小さな音とともに、ロイエルのゆるやかな呼吸に合わせて、慎重に挿入させていく。
 半ばまで入れたところで、ロイエルが軽く息をつめた。
「中将、き、つい、」
「お腹の力抜いて?」
「ん、んっ」
 両手でシーツをつかみ、身じろぎする。
 ゼルクが動きを止めて、ロイエルの腰をさする。
「大丈夫。いい子。力抜いて? 息、ふーって吐いて?」
「ふ、……っ」
 指とは違う熱い脈動に、少女は軽い恐慌状態に陥って、ふるふると首を振り、「ふぇ、」と泣き出す。
「ごめん、抜いたげるから、泣かないで、」
「や、だ」
「意地で続けるようなことじゃないから、」
「やだぁっ」
「痛いでしょ」
「違うの。痛くないの。こわいの、ここ、ちゅうしょうでいっぱいになるの、こわいの」
 下腹部に右手を当てて、ロイエルが涙をこぼす。
「私のこと、嫌?」
「ちが、」
 少女は必死に首を振る。
「お腹の中、好きでいっぱいになるの、こわいの、中将、」
「……!」
 思わず抱き寄せて深く口づけた。
 そうして額と額を合わせて、ゼルクが願う。
「お願い、私のこと、好きになって? ロイエル」
「……あ、」
 力が抜け、ゼルクを奥まで受け入れる。
 は、は、と息を吐き、ロイエルがゼルクにしがみついた。
「すき、」
「私もだよ」

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
二回目ーーーーーーーーーー!!!!!

謎の芸術家中年女性M:
YAHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
ヤっちゃったねえ。

謎の芸術家中年女性M:
イれちゃったわねえ。ずいぶん丁寧に優しくしてくれたわねえ。

ガイガー管理官(男 25歳):
ゼルク君紳士だけど、ここまで丁寧にするのはロイエルちゃんだからだろうなあ。

謎の芸術家中年女性M:
一回目もこんなふうにしてトロけ落とせばよかったのにい。

ガイガー管理官(男 25歳):
いやー、一回目はそんな雰囲気じゃなかったからなあ。

謎の芸術家中年女性M:
まーアチシはどっちもスキだけどね!

ガイガー管理官(男 25歳):
僕もどっちもスキー! じゃー続きー!

謎の芸術家中年女性M:
ツヅキーーー!!

::::::

 体位を変えて、ゼルクがあおむけになり、つながったままのロイエルを上に横たわらせる。
 ふわりと抱きしめて、やわくつきあげると、あえかな嬌声がもれる。
「あん、」
 そっと耳にささやきかける。
「気持ちいい?」
「ん。お腹、しびれるみたい」
 少女の腰がかすかに揺れ、淡雪のように甘い快楽を味わう。
「もうちょっと動かしてあげようか?」
 頬を桜色に染めて、うなずきが返った。
「きもちいいの、もうすこしほしい」
 先ほどの動きよりわずかに強めにする。
 内奥に生じた甘美な悦楽の波は下腹にじわりと広がり、背筋をとおって鼻にかかる恋鳴きを生んだ。
「あ、ん、」
 自分の甘い声を恥ずかしがって首を振る。
 青年は、彼の胸に顔を伏せたロイエルの形の良いお尻を両手で包んで軽くゆすって、ひときわ高い声があげさせる。
 二の腕にしがみついたロイエルの手が、快楽でちくりと爪を立てた。その小さな痛みに、ゼルクは嬉しそうに目を細めた。
 前髪を後ろに撫でてやると、少女が惹かれて顔を上げる。キスをしたいが、とどかないのがもどかしい。
「中将、キス、したいの」
「うん」
 腕の下に手をさしこまれて、ぐい、と、身体を引き上げられる。ロイエルの中に入っていた男根が半ばまで抜ける。
「や、」
 ふるふると首を振り、「抜いちゃ、や、」とねだる。
「そんなに気持ちいい?」
「うん」
 青年が身を起こし、股間にロイエルをまたがらせて座らせ、咥え直させる。
「ぁあん、」
 かすれたさやかな嬌声が唇から漏れる。
 その声ごと飲み込むように、ゼルクがキスをした。
 唇を舐めてから割り入り、前歯の裏、上顎、舌の上をなぞって、舌をからみあわせる。ちゅくちゅくと水音が漏れる。
 上も下も青年に愛されて、ロイエルは細い体を茜色に染める。
 腰が欲で前後に悩ましく動く。揺れてぬかるむ内側のここちよさに、ゼルクが自身を最奥へ突き入れた。
「ふあ、……あ、っ」
 背中が反らされ、ゼルクの立てたひざに当たる。
 抽挿は間断なく続けられ、快楽の律動に、ロイエルが乱れた。脚がぴんと伸びて、つま先が丸まる。
「ちゅうしょ、やっ、……あぁっ、だめぇっ、おかしく、なっちゃ、う……ッ」
「おかしくないよ。可愛いよ。いい子だね。もっと感じて?」
 乙女の奥で芽吹き花咲かせようとする大きな快楽の種の成長を助けるように、ゼルクが緩やかに腰を動かす。
「んっ、……ぅんッ、……はぁあん」
 子宮への温かく柔らかい道が青年を包んで、とろとろとうねり動く。自分の奥にゼルクを感じて、その心地よさに酔いしれ、意識が飛びそうになるのを理性が必死で押し留めていたが、優しくささやかれた「ロイエル可愛い。もっと気持ちよくなっていいんだよ?」という言葉に導かれ、ロイエルは気を失った。

::::::

謎の芸術家中年女性M:
二回目で気絶エッチーーー!!!!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
ある意味二回目も気絶エッチーーーーー!!!
一回目は痛さで、二回目は気持ちよくてーーー!!!!

謎の芸術家中年女性M:
はーでも、まだ二回目だからか、色々なオタノシミはしなかったのねーー! ゼルク君紳士ーー!!

ガイガー管理官(男 25歳):
基本挿れて気持ちよくさせるのが目的の二回目エッチだからだね!

謎の芸術家中年女性M:
そんなことシちゃらめえええええ!!!! な、展開は二回目ではまだ早かったかあ。

ガイガー管理官(男 25歳):
ロイエルちゃんが嫌がることはしない、が、至上命題だからネ!

謎の芸術家中年女性M:
そーんなこと言ってぇ。そのうち「いやよいやよもスキよのうち!」的なえっちもしまくるんじゃないのおおおお??

ガイガー管理官(男 25歳):
そこは今後の課題ってことで!

謎の芸術家中年女性M:
課題ってことで!!
ではツヅキ!!

::::::

「……は、」
 目が覚めると、トレーニングウェアが着せつけられて、こちらもシャツとスラックスにきっちり着替えたゼルクに抱きしめられて、彼のベッドにいた。
 夢だったのかな、と思ったが、腰がまだ甘くせつない。
 さらりと髪をなでてやり、ゼルクが心配そうにロイエルにたずねる。
「どこか痛いところない?」
「……ううん」
 首を振って、顔を赤らめる。
 やっぱり夢じゃなかったんだ。
 お風呂の入り方教えてもらって、さわってもらって……抱いてもらった。
 胸がきゅんと鳴いた気がした。
「よかった」
 安心したように微笑まれて、どうしていいかわからなくなり、ロイエルは顔をうつむける。
 そうしたら、頭を撫でられた。
「もうしないから大丈夫だよ」
「!」
 こちらの思いと逆のことを言われてしまい、少女は慌てる。
「やだっ!」
 言ったあとで、はしたないと思い、口を手でおさえたが、出て行った言葉が消えるわけも戻ってくるはずもなかった。
「……」
「……」
 ロイエルは真っ赤になって、ゼルクはきょとんとして、見つめあった。
「あ、あの、……また、いつか、してほしい、……の、」
 なけなしの勇気をかき集めて振り絞って、少女は小さな声を紡いだ。
 すると、抱きしめる力がほんの少し強くなった。
「本当に? 光栄だな」
 ロイエルはゼルクの首の後ろに両手を回し、ぎゅっと抱きついた。
「中将、ありがとう、」
「お礼を言われることはしてないよ?」
「ううん」
 至近距離から青年を見つめる。
「……うれしかったの」
「ロイエル、」
 華奢な顎に手をかけて、ゼルクは口づけた。
「じゃあ、また、したげるね?」
「……うん」

::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
さーてと!
そろそろ乗り込んで行こっかなー!

謎の芸術家中年女性M:
あちきは、ガッちゃん込みの風景を覗き見してから帰ろっかなー!!
どーせ行っても時系列的に「誰コイツ!?」状態だしい!!

ガイガー管理官(男 25歳):
なんかゼルク君に聞きたいことあったら聞いてくるヨ!?

謎の芸術家中年女性M:
じゃー「具合よかった????」って聞いてきてええええ!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
うんわかった!! 殴られるの覚悟で聞いてくるヨ!!!

::::::

 夕食の支度を始めた青年のもとに、悪友がスキップでやってきた。
「ゼールークーくーーん!! 僕が来たよーー!!!」
 ちらりとそちらを見ただけで、特に反応はされなかった。
 職務上当然とはいえ、覗き見されているのはわかっている。
「ロイエルちゃんはーー???」
 そらとぼけて、答えのわかりきった質問をしてくるのがさらにいやらしい。
「寝てる」
「なんでー??? グフゥ!!!」
 みぞおちに肘鉄を入れられた。
「ゴホゴホゴホッ!!」
「帰れ」
「えーーー!!!! 僕んち、今夜ユリちゃんいないからー!! ごはん独りで食べるのヤだもーん! ゼルク君の作ったごはん一緒に食べるううううう!!!」
「鍋ごとやるから帰ってくれ」
「ラタトゥイユ好きだけどみんなで食べるのじゃなきゃいやー」
「お前が駄々こねても一つも可愛くないんだが」
「ロイエルちゃんとは大違いってか? ……おっとお!!」
 振り降ろされた手刀をすんでのところで白刃取りして、ガイガーはニヤリと笑う。
「ねえ具合よかt」
 きれいに蹴り飛ばされた。

「ここまでするってことは、ロイエルちゃんの責任を取るってことだよね?」
 コトコト音を立てる鍋を見つめながら、二人してコーヒーを飲む。
「彼女が嫌でないなら、そうしようと思ってる」
「一緒に住むんだ?」
「いや。私は留守がちだから、母に頼もうと思う」
「教授に? いいねえ! 僕もゼルク君ちの子になりたい」
「でかい熊はいらない」
「躾が行き届いた素敵な青年デスよ?」
「奥さんと仲良くやっててくれ」
「言われなくてもそーしマース」
 ゼルクが立ち上がり、鍋を開けて味見をして、火を止めた。
 しん、と、静寂が広がった。
「早死にしないでね?」
「さあ、それはわからないな」
「大丈夫だよ。アインシュタイン君がついてるじゃない」
「トレーニングの最中にやられたらお終いだがな」
「言えてるー」
「善処するよ」
「それって、いいえと同義語だからやめてよ」

「……中将、」
 青年二人の会話に、おずおずと声が掛けられた。
 二人して振り返ると、ロイエルが立っていた。
「起きたね?」
「コンバンハーお邪魔してますロイエルちゃん」
「……こんばんは。夕食の準備してるの? 手伝う」
「あとは煮込むだけだから、大丈夫だよ」
「うん……」
 ゼルクは、立ち尽くすロイエルの方に歩いて行った。
 腰をかがめて、浮かない瞳を見つめて静かに微笑む。
「どこから聞いてた?」
「熊?が、いらないってとこから、」
 先ほど愛を交わしたばかりの少女に、死を聞かせてしまった。
 そっと抱きしめあう。
「そう簡単には死なないから安心して?」
「……うん、」
 
::::::

ガイガー管理官(男 25歳):
二人の世界になっちゃったんで、早々に戻って来ちゃいました。ただいまー!

謎の芸術家中年女性M:
あらー。お帰りー。具合よかったみたいネー?

ガイガー管理官(男 25歳):
ネー。鍋ももってキチャッター!

謎の芸術家中年女性M:
やりい! 今夜は二人でラタトゥイユつつきながら、二人の二ラウンド目鑑賞とシャレこもうぜ!

ガイガー管理官(男 25歳):
こもうぜ!
じゃー皆さん、今回のIFはこれで!

謎の芸術家中年女性M:
おっわりー!!!

ガイガー管理官(男 25歳):
まったねー!

::::::


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