万の物語/二万ヒット目/北の空二万の星〜白い星の隠し巫女〜

北の空二万の星〜白い星の隠し巫女〜

すぎな之助(旧:歌帖楓月)


1 

 北の空、ニ万の星は、主人の物。
 小鳥は主の元を離れて、白い星に留まる。
 答えが、出るまで。 

「答えが出たら、迎えに来る」
 主は、そう言った。
 私は残る。白い星に。
 北の空、二万の星は、主の物。
 私のこの身も、主の物。
「一緒に戻っても、構わないぞ?」
 長である父は、そう勧めてくれるが、私は首を振る。
「いいえ。私に下さった命令は、残れ、と。その言葉が全てです」

「独りで星巡りは、つまらないな」
 寒空の下で主はひとりごちた。
 雪が舞う。寒冷の地。
 隣には誰も、何もいない。
 遠くの星を見て、主はささやく。
「会いたい。私の……」


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