「もうお前を外には出さん」
鳥かごの前で、賢者は不機嫌だった。
「どうして、すぐに助けを呼ばなかった?」
白い小鳥は、キュルリと鳴いた。
彼はいっそう不機嫌になる。
「お前は私の使いである前に、私の物だ。わきまえろ」
白い小鳥は、かごの中で羽ばたいた。
翼は手になり腕になる。
白い羽毛は白い肌に、黒い瞳は瞳と髪に。
「主上、」
かごから抜け出す、彼の小鳥。
「雪葉、」
そうして、主の腕に捕われる。
「何があっても、私はもうお前を離さない」
「……はい」
かごの鳥。
彼女はもう、誰の元へも降りてこない。
インテリジェと雪葉は幸せそうに笑った。
終
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