万の物語/三万ヒット目/人質は三万〜誕生日の贈り物〜

人質は三万〜誕生日の贈り物〜

すぎな之助(旧:歌帖楓月)


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「もうお前を外には出さん」
 鳥かごの前で、賢者は不機嫌だった。
「どうして、すぐに助けを呼ばなかった?」
 白い小鳥は、キュルリと鳴いた。
 彼はいっそう不機嫌になる。
「お前は私の使いである前に、私の物だ。わきまえろ」
 白い小鳥は、かごの中で羽ばたいた。
 翼は手になり腕になる。
 白い羽毛は白い肌に、黒い瞳は瞳と髪に。
「主上、」
 かごから抜け出す、彼の小鳥。
「雪葉、」
 そうして、主の腕に捕われる。
「何があっても、私はもうお前を離さない」
「……はい」
 かごの鳥。
 彼女はもう、誰の元へも降りてこない。
 インテリジェと雪葉は幸せそうに笑った。


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