沈思の森、湖に浮かぶ大きな島の南端の湖岸。
若い女性が歌を唄いながら、マリモの精霊と遊んでいた。
曇天であるにもかかわらず、彼女たちは朗らかに笑っていた。
「都のあかり 城のあかり
王国をささえる王のいのり
気ままに唄う魔法使いのひかり
湖岸にすべてあつまって
日の光にかがやいて
星の光に力をあげる
湖底にひかり
マリモのひかり
長い時間を
原始のひかり」
「ふふふ、よく即興で歌を作れるわね? 素敵。あなたたちは、本当の世界とこっちの世界を行ったり来たりしているのだものね。面白いでしょうね?」
マリモの精霊たちは、身振り手振りで、若い女性に語りかける。
「私たち人間の方が面白いって? そうねえ、私たちはこの世界でしか生きて行けないものね。あなたたちにしてみれば、面白いかもね。何? 不自由でしょう、ですって? そうよ不自由よ。自由ではないわね」
若い女性は、にっこりと爽やかに微笑んだ。
「でも楽しいわ? こうしてあなたたちと話ができるわけだし」
マリモの精霊たちも、笑う。
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