女子高生の異世界召喚「君こそ救世主?」物語
Magic Kingdom

歌帖楓月



59 見舞い

 明理沙はすやすやと眠っている。
 彼女の寝台の回りに、薬草をまいたリディアスは、少女の寝顔を見下ろした。
 興味深い娘だと思う。
 こちらから見ればまだ幼いのに、こちらの意図をよく理解する。あの王の息子と二人で私の目の前に立ったときも、片方に相反して、まともな答えを返した。
 リディアスは、カイが異世界から少女を呼んだことに、呆れた。
 先の王の子供が、「早く王が決まらないと世界が崩壊する」と思い込んで実行した所業だと聞いたときには失笑した。
 実際のところ、「世界を流れる力」のことがわからない者が王になれば、間違いなくマジックキングダムは崩壊する。
 何も知らない人間が、王を選んではならない。
 王の子供は、わざわざ一番崩壊の可能性が高い選択をしたのだ。
 そして、この少女が城にやって来た。
 すこし意外なことに、面白い子だった。
 切羽詰まった恐怖にかられた少年が、異世界中捜し回って見つけた頼みの綱。
 しかし、頼みの綱にしては、平凡な少女だ。
 まだあどけない少女の寝顔を見下ろす。
 彼女はこの世界の救世主、などではない。あの子供にとっての救世主なのだ。
 つまり、王の息子のあせりに、マジックキングダムの未来が巻き込まれた。そういうことなのだ。




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