女子高生の異世界召喚「君こそ救世主?」物語
Magic Kingdom

歌帖楓月



96 虚無の願い

 世界の幹には染みがあった。
 ずっと昔から。
 光に混じる闇だった。
 捕らえられた虚無だった。
 ありえない同居だった。
 いつからだろう。
 ずっと昔からだろうか。
 世界が始まったその時から、だろうか。

「白魔法使い狩り」
 つぶやいて、ユエは嗤う。
 心に浮かぶのは、もう、それしかない。
 彼女の悦びは、それだけになっていた。
「あと一人だけ。そう……いとしいエフィル様だけが残ってる、」
 けれど、闇のこの身は、白い彼に傷一つ付けられない。
 まるで、
 白銀に輝く世界の幹に、相容れずにあり続ける闇のように。
 世界の幹を支えて消えたエフィルの両親。
 病で亡くなった先王。
 人形に変わった桔梗の君。
 空っぽのシナーラ。
 闇の部屋に入れられたティカ。
 シルバースターが降りたシルディ。
 これだけ狩ってきた。
 あとは……全き白魔法使いとして輝いているのは、エフィルだけ。
 あと一人。一人しかいない。
「どうやればいい? どうすれば狩れるかしら?」
 輝く彼が、狩られる姿。
 それを思うだけでユエの心は高揚した。
 まっしろなエフィル様。
 同時に、
 ユエはあることを願う。
 願い続けている。
 ずっと昔から。
 光にしばられた、虚無の闇は何を願うだろう。




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