世界の幹には染みがあった。
ずっと昔から。
光に混じる闇だった。
捕らえられた虚無だった。
ありえない同居だった。
いつからだろう。
ずっと昔からだろうか。
世界が始まったその時から、だろうか。
「白魔法使い狩り」
つぶやいて、ユエは嗤う。
心に浮かぶのは、もう、それしかない。
彼女の悦びは、それだけになっていた。
「あと一人だけ。そう……いとしいエフィル様だけが残ってる、」
けれど、闇のこの身は、白い彼に傷一つ付けられない。
まるで、
白銀に輝く世界の幹に、相容れずにあり続ける闇のように。
世界の幹を支えて消えたエフィルの両親。
空っぽのシナーラ。
人形に変わった桔梗の君。
シルバースターが降りたシルディ。
病で亡くなった先王。
闇の部屋に入れられたティカ。
これだけ狩ってきた。
あとは……全き白魔法使いとして輝いているのは、エフィルだけ。
あと一人。一人しかいない。
「どうやればいい? どうすれば狩れるかしら?」
輝く彼が、狩られる姿。
それを思うだけでユエの心は高揚した。
まっしろなエフィル様。
同時に、
ユエはあることを願う。
願い続けている。
ずっと昔から。
光にしばられた、虚無の闇は何を願うだろう。
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