すぎな之助(旧:歌帖楓月)
「!」 突然、風景が変わったので、平衡感覚を失ったフロラは膝を崩して床に座り込んだ。 次いで、膝の上に、タルトが入った紙の箱が現われた。 プリムラが、なにかした? そう思ったフロラは、箱を見下ろし、石造りの床に目を移し、階段があることに気付いた。よく知っている場所だった。 ここは、工学部棟の広場側の階段に違いない。 フロラは、目を上げた。 階段には、人が二人立っていた。 まず、大学では普段見ないような、きらびやかなドレスが目に入った。