シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

116 恋の故意の悪意

 そこにはフローレンスがいた。階段の踊り場に、座り込む格好で。
「フロラ……!?」
 王子は、驚いて声をもらした。
 どうしていきなり現れたのかとも思うが、彼女の叔母は魔法使いクリスティーナ。おそらく、転移の魔法でも掛けられたのだろう。
「どうしたの? 何かあったの? 大丈夫?」
 階段を下りて近づこうとして、自分には余計なお荷物がくっついていることを思い出した。
 忌々しげにつぶやく。
「離れろよ。ガーネット」
「……」
 王子と同じように、フロラを見ていたガーネットは、何か考えているふうに沈黙した後、王子に向き直って意味深に微笑んだ。
「ふふふ?」
「なんだよ?」
 王子には、魔法使いの微笑みの意味がわからなかった。
 ガーネットは、もう一度後ろを振り返り、こう言った。

「ごめんあそばせ、フローレンス様。こんな恥ずかしいところをお見せしてしまって、……失礼いたしました」



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