シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

17 二限目の終わり

 二限目の講義が終わった。
 学生たちは講義室を出て行く。
 午後からは、フロラたち二年生は、それぞれが選択した研究室に顔を出す。
「お昼は、みんなで学食なんだ。うちの研究室の決まりごと」
「あら、私たちは自由よ。好きなようにしてるわ?」
「うちもばらばらだけど。月末だけは皆で外に出て一緒に食べてる」
 昼食のとりかたを話題にしながら、学生たちは歩いていく。
 と、男子学生の一人が、前方からレンガの道をしずしずと歩いてくる集団に目をつけた。
「あ、今日も来てる……」
 独り言のように、小さくつぶやいた。そして複雑な微笑みを浮かべながら、彼は他の学生たちにもそっと目配せして教える。
「来たんだ。へえ」
「他人事だけど大変だなあ」
 皆、その集団に意識を向けてないように装って、微苦笑しながら歩く。
 フロラの右隣を歩く同級生の男の子が、そっとつぶやいた。
「行って、教えておいでよ。フロラ。まだ、彼女たちあなたに気づいてないみたいだから」
 左隣を歩く女の子が、かすかにうなずく。
「そうそう。ゆっくり回れ右をして理学部の学舎に入って、そこを通り抜けて工学部棟にいけば、気づかれないし近道よ」
 フロラは、「そうするわ。ありがとう」と小声で言って、歩き出した。



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