シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

24 苦境に耐えて進む令嬢たち

 通りかかった学生たちは、その「踊り」にぎょっとして、見てはいけないものを見てしまった様子でそそくさと立ち去る。
 やんわり微笑む彼女たちには、砂糖菓子と花束と、夢を語る詩集が良く似合う。それらは彼女たちのためだけに存在する、と言っても過言ではない。
 転んでいた乙女は、今まさに咲こうとする花のように、立ち上がった。
「皆さん、励ましてくださってありがとう。私、ファウナス王子のいらっしゃるお部屋まで、耐えます!」
 乙女は、瞳に浮かぶ涙をそっとふいた。口元にはばら色の微笑みを浮かべている。
 その姿を見て、残りの乙女たちも立ち上がった。
「そうですわ、ガーネット様。その調子です」
「がんばりましょうね! ガーネット様!」
「わたくしたちも、ついておりますわ!」
「さ、皆さま。王子のいらっしゃる二階まで、ご一緒に手を取り合って参りましょう!」
 夢見る世界の乙女たちは、苦境にも笑顔で耐える聖女のような微笑みを浮かべながら、階段を登って行った。
 ところで、乙女たちは目的の階を間違えている。



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