「王子……」
フロラは、王子の気持ちを思いやり、捕らえられてカゴに込められた鳥を見るように悲しそうな顔をした。
ファウナ王子は、そんな相手を見返し、気を取り直して微笑む。
「それより、魔法使いの弟子入りでもすれば、みんな恐れて近寄らなくなるんだろうけど」
「いいえ!」
フロラは、それを聞いた瞬間に、真剣な表情で首を振った。
「それはお止しになってください!」
必死なフロラに、王子はにっこり笑う。
「冗談だよ。いくら、こんな騒動になっていても、私も命は惜しいから、そこまではできない。それに、元々素質がないしね」
それを聞いたフロラは、胸をなでおろした。
「よかった」
そして微笑んだ。
緩やかに波打つ白金の長髪が、午後の陽光にきらきらと輝く。宝石のような青い青い瞳が、深く澄んでいる。
「プリムラを見ていると、とても可哀想で。その上、ファウナ王子まで魔法使いの世界に入っていらしたら、私……」
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