それを聞いた王子が顔をしかめる。
「とりあえず私はだまされないぞ」
ガーネットはおっとりと首を傾げて、冗談を聞いたように笑う。
「それはどうでしょうね? 魔女は色目を使えます。あなたの心を奪うくらい簡単なことです」
王子はガーネットから目をそむけた。
「だから私はあなたの顔は見ないことにしている。特に笑顔は」
ガーネットの微笑みが冷気を放つ。
「賢明です。でも、油断は禁物ですよ。私はいつでもあなたを狙っておりますから」
ファウナ王子は顔をしかめる。
「いいのか? 魔法使いが魔女のように非道な真似をしても」
それに返事をしたのは、すました王宮魔法使いだった。
「いい悪いではなく、魔法使いになればそんなもの自己責任です。ですから責任は取ってくれますわ。それが嫌なら、さっさと正直になることです」
王子は、さらに顔をしかめた。
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