シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

43 宿題の予告

「王子。助けて差し上げた礼がわりに、宿題を出しますからね?」
 クリスティーナは優雅に微笑む。
 王子はうらめしそうな顔になる。
「助けた……? ほとんど見捨ててなかったか?」
「なんて後ろ向きな物の見方をするのでしょう」
 魔法使いは嘆く。
「最初だけは助けたでしょう? その点を過大評価して、偽りの幸せをかみしめてくださいな」
 しかし、そこで表情を一転させて、しれっと言った。
「でもよかった。フロラが無事で。今度からガーネットの嫌がらせは王子一人に対してのみ行われることでしょう」
 王子は苦い声を返す。
「お前な、自分の立場を忘れてないか? お前は王宮に雇われてる魔法使いだ。私たち王族を守るのも仕事の一つだろう? 私を危険にさらしてどうするんだ。解雇するぞ」
 魔法使いは全く臆せず、それどころか意地悪く笑う。
「ああら? わたくしが『大』魔法使いだということ、覚えきれませんでしたの? したり顔で偉そうなことを言うと、大切な国家をひっくり返しますわよ?」
「すまなかった私が悪かったやめてくれそれだけは」
 王子は言葉の上では早々に折れた。声にも顔にも、何の表情や気持ちも込められていなかったが。
 魔法使いは、王子の気持ちもわかった上で、負けてくれた弟を見るように微笑んで見つめた。
「そうそう。わたくしには逆らわないことが、賢明なのです」



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