シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

44 急かされる王子

 次に、からかいの笑みに変わった。
「ところで? さっさと正直にならないと、本当に取り返しのつかないことになりますよ?」
 王子はすねたようにそっぽを向く。
「まだだ。少なくともこの騒動が収まるまでは」
 魔法使いが言いたいことは、わかっている。フロラへ想いを告げろということだ。
 クリスティーナは、腰に手を当てて、にやりと笑う。
「王子も魔法使いに気に入られているようですけれど。あなたの問題だけでもないんです。油断してると、うちの未熟者が横取りしていくかも」
 王子はぎょっとして、クリスティーナの美貌を見つめた。
「まさか」
 うちの未熟者とは、つまり、フロラの継姉のことだ。灰色の城で、フロラを我が物にしようとした魔女。
 クリスティーナは、にやにや笑う。
「まさかですとも。ふふ。魅入られたのを取り返すのは、大変ですわよ? 魔法使いは責任を取れますけど。魔女はどうでしょうね」
「……」
 道に迷ったような顔で、王子はうつむく。
 クリスティーナは声なく笑う。
 フロラには二人の話が見えない。楽しそうな叔母と、深刻げな王子とを、怪訝な顔で交互に見つめている。



←戻る次へ→

inserted by FC2 system