シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

45 去り際に

「まだ可哀想だ。騒動に巻き込みたくないんだ」
 王子の小さな返答に、魔法使いは眉をひそめた。
「なんですって?」
 魔法使いは、気分を害した。それまで浮かべていた哂い顔を引っ込めた。
「嘘おっしゃい。すでに巻き込んでるではないですか。だったら、知らないよりも、知った上でそうなる方が、少なくとも本人は納得できるでしょう?」
「そ……」
 そうだろうか? と言おうとした王子の額をクリスティーナは人差し指と親指とで勢いよく弾いた。
「何をする!?」
 魔法使いは鼻で笑った。
「さあ? 何を仕込まれたのでしょうね? あなたの頑張り次第で、罰にもご褒美にもなりますわ」
「何をした!? クリスティーナ!」
 クリスティーナは王子の問いをフロラへの言葉でさえぎった。
「じゃあね。フロラ。プリムラのところにまた行ってくるわ」
 フロラは、ひどく心配そうな顔でたずねた。
「クリスティーナさん、プリムラはどうしているの?」
「埋めてあるわよ」
「!」
 クリスティーナは消えた。



←戻る次へ→

inserted by FC2 system