シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

55 ケーキで昼食1

 袋を開けると、バタークリームで飾りつけされたカップケーキがいくつも入っていた。
「このケーキはね。当直明けの兄に、院長が『朝食に』って言って、持って来てくれたんだって」
「朝食……」
 フロラは、クリームが築城されたケーキを取って、まじまじと見つめる。
「甘いものが好きなのですか? 先生は」
 王子もケーキを手に取りながら答えた。
「いいや。甘党は院長の方だ。兄は、あまり」
「では、中を見てびっくりなさったでしょうね」
「見ただけで胃がもたれたから、すぐに閉めたって」
「ふふ」

 フォークも何もないので、二人は手に持ってケーキを食べる。
 扉のある壁を背にして、部屋の奥を前方に見て、二人はならんで座った。
「おいしい」
 一口食べて、フロラが微笑んだ。
「お腹が減ってると、余計にね」
 王子がうなずく。まろやかだがしっかりした甘さに、「渋いお茶が欲しいところだな」と思いつつ。



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