シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

58 七割の感謝

「ふふ。王子も」
 フローレンスは手を伸ばして、ファウナ王子の左頬にそっと触れた。
「ね?」
 白い指先についた白いクリームを見せて、フロラが微笑む。
「本当だ」
 苦笑する王子の前に、侍従長は紅茶を置いた。深意のある笑みを浮かべて。
「どうぞ、王子」
 そして、すっと見上げて、渋い顔になる。
「しかし、感心しませんな? 相手の許可も得ずになんの断りも無く」
 王子は目をそらしてうなずく。
「今回は礼を言う。良いところに来てくれた」
 七割は心からの感謝だった。残りは違うが。
 つい、取り返しのつかないことをするところだった。まだ告白の方がいい。



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