シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

61 決心と同情

 王子は、侍従長がいた場所を、無言で見つめた。
 まるで、目には見えない重要なものが、そこに生まれたかのように。
 そうしながら、二人の魔法使いが言った言葉を、頭の中ではんすうして、じっと考えた。
『すでに巻き込んでるではないですか。知った上でそうなる方が、少なくとも本人が納得できるでしょう?』
 そうだ。
 もう、巻き込んでいた。
 舞踏会へ連れて行った。
 令嬢たちから一緒に逃げた。
 悩む私を気遣ってもらった。
『それとも、逃げますか? 蛇穴に放り込まれた小兎のような妃を放って』
 逃げない。
 決めた。

 すっかり黙り込んでしまった王子を、フロラは心配した。
 好きなことをなさりたいでしょうに。
 なのに、自分の生き方を決められない。
 それは、とても窮屈なことだ。よく、わかる。
 大人になって、これから未来が始まる。
 なのに、他人が勝手に閉ざしてしまう。
 それは、とてもひどいことだ。とてもよく、知っている。



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