すぎな之助(旧:歌帖楓月)
フローレンスは、歯車を見上げた。 「父様……」 つぶやくと、父の声が聞こえるようだった。 『なんだい? フロラ』 フロラは、微笑んだ。こころなしか、頬が赤い。 「ううん。なんでもないの。また、夜に来ます」 そして時計室が無人になる。 歯車は、穏やかに回り続けていた。