シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

74 ご機嫌な叔母のおみやげ2

 長机の上で箱を開けると、ドレスと装身具が一そろい入っていた。
「クリスティーナさん、これ……」
 驚くフロラに、クリスティーナはうきうき答える。
「どう? フロラに良おく似合うわよ? 今夜の舞踏会にはこれを着てもらえると、嬉しいわ!」
 どうして着る前から似合うとわかるのか。
 フロラからたずねられる前に、クリスティーナは言った。
「仕立てる時にね、私があなたの姿になって合わせたから、間違いないの!」
 クリスティーナは、ふんわりたたまれているドレスを持ち上げて見せた。
「ほらっ、きれいでしょう?」
 そのドレスは、陽光を抱く霧のような色合いをしていた。白地に、ところどころほんの微かに金糸を織り交ぜた絹布を使っている。
 フリルやレースの類は一切ついていなかった。
 すそはギャザーではなくドレープになっていて、滑らかな稜線を描く丘陵のようだった。すそ丈は、前よりも後ろが長くなっている。
 えりは深くはないが、広く丸くとられている。
 そではない。かわりに、長い手袋がある。
「それからね、これをつけるの」
 クリスティーナは、ドレスを台の上に乗せ、装身具を手に取った。
 フロラの髪の色と同じ、ホワイトゴールドの繊細な首飾りとイヤリング、そして髪飾りだった。可憐な草花が連なった意匠にしてある。花のところは月光石がはめ込まれていた。
「きれい……」
 思わずつぶやいて、それらを見つめるフロラに、クリスティーナは笑った。
「着てみて!」



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