すぎな之助(旧:歌帖楓月)
翌朝。 良く晴れた春の日曜だった。優しい青空に、太陽がきらきら輝いている。 「一人立ちなさったのですって? 胸をなでおろしましたわ」 大学へ向かう準備を終えたファウナ王子の頭上から、美しい女の声が降ってきた。 「ああ。伝言は聞いてもらえただろうか?」 顔を上げずに、王子は鞄を抱えて部屋の扉へと歩く。 「『一足遅かったよ』」 王子は優雅に笑う。 「そうそう」 王子は扉を開けた。 目の前に、声の主が立っていた。 王子は驚きもせずに、微笑んでみせた。 「せいぜい頑張るよ。じゃあね。行ってきます」