「危ないでしょう? なんのつもり」
背後から、いらついた声と共にフロラの両手がつかみ上げられた。
「!」
フロラは後ろを振り返る。
プリムラが不機嫌な顔で立っていた。
「プリムラ……。どうしたの?」
こつ然と現われた魔女に、フロラは驚いた。
プリムラは笑みもしない。
「あなたこそね。鉄板を素手で持つつもりなの?」
「え?」
フロラは、自分の手を見上げた。
鍋つかみをはめていなかった。
「私ったら」
自分の失態を知り、フロラは恥ずかしそうに頬を染めた。
「ありがとう。プリムラ」
プリムラはぞんざいにフロラの手を離した。
つんと顔を背ける。
「今、クリスティーナがいないんだから、火傷してもそのままになるのよ? 気をつけなさいよ」
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