シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

4 朝の風景4

「まあフロラ。もう起きたの? ああそうね。ごめんなさい。うるさかったかしら?」
 部屋に入ってきたフロラを、クリスティーナは満面の笑みと、溢れる愛情とで迎えた。
 プリムラに対する態度とは全く逆だった。
 そして表情を一変させて、憎々しく舌打ちする。
「チッ! あのガキがなかなか起きないものだから」
 それを見るフロラの顔は、浮かないものになる。
「でもクリスティーナさん、プリムラは昨日……」
 クリスティーナは、フロラの言葉を封じるようににっこり笑う。
「いいのよあんなガキ。痛い目に遭ってあらゆる苦労をすればいいの」
「そんな……」
 フロラは、クリスティーナから聞いた恐ろしい話を思い返した。
 昨日プリムラは、クリスティーナに全身を縛られて海に落とされたらしい。それも、陸地から近い場所ではなく、三六〇度水平線しか見えないほどの沖で。その上、フロラの目の色のように深い海だった。クリスティーナは空に浮かびながら「死にたくなかったら、魔法を使ってここまで上がって来なさい」と言って見下ろしていた。
 クリスティーナは、微笑んだまま言った。
「昨日は残念なことに、死なずに生き残ったわ。しぶといったらないわ。まったく」
「クリスティーナさん、ひどい!」
 フロラは思わず声を上げた。



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