シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

46 王宮への道

 王子とフロラは、それぞれに考えながら、大学の広場を横切る。
 二人とも、魔法使いが残した言葉について、深刻に悩んでいた。
 王子は、フロラへ想いを告げるべきか否か。
 フロラは、プリムラの安否を。
 二人は同時に、重く長い息を吐いた。
 そして、はっとしてお互いを見合う。
「どうしました? 王子」
「いや、私は……なにも。そう、ただ、クリスティーナにいびられて参ってただけ」
 内心ひやひやしながら、王子は問い返した。
「フロラはどうしたの?」
 フロラは弱い微笑みを浮かべる。
「プリムラが無事かどうか。考えていました」
「ああ。それでためいきを」
 王子は心から納得した。
「彼女、クリスティーナにしごかれているんだものね。心配だね。それは」
「はい……」
 うつむくフロラ。
 王子は、フロラのことをできるかぎり励ましたいと思った。魔法使いになるのは過酷なことこの上ないが。せめてもの救いは、本人たちの生命力がしぶとすぎることだ。
 ファウナ王子は、明るく笑って元気に言った。
「大丈夫だよフロラ! 魔女って、丈夫なんだから。ほら、さっきのガーネット、見ただろう? 階段から落ちてもなんてことなかったし」
 フロラは、王子の思いやりを汲むように、少し明るく微笑む。
「ええ」
 しかしすぐに、心配そうな顔に戻った。
「でも、クリスティーナさん、とっても楽しそうなんです」
「……」
 王子は言葉を失う。
 あれが、楽しそうな顔をして、修行をさせているということは、
「それは……大変だね……」
「はい……」
 二人は、重く息をついた。



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