シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

56 ケーキで昼食2

「手がクリームまみれになったね」
「でも、おいしいですよ?」
 うれしそうにケーキを食べるフロラに、王子はたずねる。
「フロラ、甘いものが好き?」
 フロラはうなずいた。
「はい」 
 天からの授かり物のように、大切そうにケーキを持つ。
 そんなフロラを見て、王子は話の次元が違うことに気付いた。
 そうか。
 好き嫌いを言えるような生活は、していなかったんだ。
 それどころか、まともに食べられない日も多かったのではないだろうか。……たとえ、クリスティーナが見張っていたとしても。
 朝から晩まで働かされて、なのに何ももらえない日もあったかもしれない。
 辛かっただろうに。
 それなのに、歪まずにきれいなままの心で、フロラはここにいる。



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