シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

83 舞踏会/ファウナ王子の反応

 いつもなら、ファウナ王子は、渋い顔になって「放って置いてください」と言って席を立つところだった。
 しかし、今晩は違った。
 優雅な微笑みを崩さず、ファウナ王子は穏やかに言った。
「父上、母上、兄上姉上、暖かいお気遣いをありがとうございます。ですが、わたくしの想う人は花の女神。花園に咲く花一輪ではありません」
 ここにいる令嬢なんてめではない、自分にはもっと相応しい相手がいる。
 予想もしなかった発言に、王は驚いて目をみはった。
「なんと!」
 王妃は口元に手を当てた。
「まあ……」
 兄姉たちも、驚いた。
「興味がなかったのではないのか?」
「逃げていたのではなかったの?」
 ファウナ王子は、どの質問にも答えずに、ゆったりと席を立った。
 そろそろ、来る時刻だ。
 王子は家族に、落ち着いた笑みを向けた。
「しかしまだ結果待ちなのです。少なくとも、それまでは誰も選びません。では、失礼いたします」



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