シンデレラ2 後日談

すぎな之助(旧:歌帖楓月)

89 貴婦人たちの歓談

「飾りの無いドレスというのも、素敵なものですわね」
 ダンスの輪から外れて飲み物を手に歓談する貴婦人たちは、フローレンスのドレスを見て口々に言った。
「ええ。他の方々が皆、華やかなドレスですから、かえって目を引きますわね。美しいこと」
「お二人とも上手に踊られるから、良く引き立ちますわね」
 彼女たちはクリスティーナくらいの年齢で、落ち着いた大人の女性たちだった。王子の妃にと無我夢中になる必要はない。それぞれの好みに合った男性達と、優雅に付き合っている。いつもならば、まだ大人とはいえない王子がどの娘と踊ろうとも、彼女たちの会話にのぼることはない。
「すそが長いのもよろしいですわね。格調高い雰囲気で」
 ゆったりと扇を揺らしながら、蘭の花のように艶雅で成熟した貴婦人たちは語らい合う。
「華美なドレスにも飽きてきましたし、今度はあのようなドレスを作ろうかしら」



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